<過去の旅 4>
■ 高校生編  その4 ■


私がバイトもなく、友達を家に呼んで楽しくおしゃべりしている時でした。

玄関チャイムが鳴りました。
出てみるとそこにはスーツを着た男性3人組。

目の前に紙を突きつけられました。
細かい事を言われたのですが、要は、父の借金の片になっている家が競売にかけられるので、中の品物とかを差し押さえに来たといわれました。

私は今、友達もいるし、家族がいない事を説明しましたが、そのまま入られ、家を査定されました。
クーラー5000円。ビデオデッキ3000円等等・・・。

私はどうしたらいいのか判らなくて、とりあえず教えてもらった母の連絡先に電話して状況を伝えました。
母が査定する人に代わってと言うので電話を代わって・・・数分。

「1階は査定が終わったから2階に移りたいけれど、お嬢さんが泣きそうだから今回は許してあげる」と言われました。

そして、彼らは赤札を貼って帰りました。

私は声もなく泣いていました。
数分後、友人が「私帰るね」と2階から遠慮がちに声をかけて帰っていきました。
私は彼女を送る事も出来ず、ただひたすら泣いていました。

夜、文字通り大喧嘩です。
父VS母・姉で。私は参加できませんでした。
どちらにも入れないし、それより、私は次の日学校に行ったら友達に今日の事を言われているのでは・・・という方が心配だったのです。

母親に言っても「なら勝手に休めば」で終わりです。
私の心は裁判所の人が破いたままでした。
私は1週間学校を休みました。連絡なしで。

そして、1週間後、一番仲の良い友達が、何も言わず家まで迎えに来てくれました。
その子の家から学校まで片道5km位。私の家によると、丁度三角形に行くことになるので11kmを自転車で来てくれました。
私は彼女がいなかったら、学校に行けたか、今でも考えます。

そして、裁判所の人が来た日に来ていた友達は、誰にも内緒にしていてくれました。
私は学校に行って、嬉しくて机に突っ伏して泣いたものでした。
誰にも判らない、でも、私にとっては嬉しい涙でした。



   

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